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東京地方裁判所 昭和52年(特わ)1304号 判決

被告人

(一)本店所在地

東京都台東区鳥越一丁目三一番九号

株式会社中清

(右代表者代表取締役中田庫造)

(二)本籍

東京都江東区千田二七番地三

住居

同都台東区鳥越一丁目三一番九号

職業

会社役員

中田庫造

昭和二年九月二二日生

検察官

河内悠紀

主文

被告会社株式会社中清を罰金八〇〇万円に

被告人中田庫造を懲役八月にそれぞれ処する。

被告人中田庫造に対し、この裁判確定の日から二年間、その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都台東区鳥越一丁目三一番九号に本店を置き、壜罐詰食料品の販売を目的とする資本金六五〇万円の株式会社であり、被告人中田庫造は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人中田は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、架空仕入を計上して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四八年四月一日から同四九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三九、七一五、九一三円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同四九年五月三一日、同都同区蔵前二丁目八番一二号所在の所轄浅草税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二、七四三、八七六円でこれに対する法人税額が四、三七五、九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一四、二八八、一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額九、九一二、二〇〇円を免れ

第二  昭和四九年四月一日から同五〇年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四七、二八四、八五二円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五〇年五月三〇日、前記浅草税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四、七四二、三八八円でこれに対する法人税額が五、一〇三、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一八、一二〇、四〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額一三、〇一六、八〇〇円を免れ

第三  昭和五〇年四月一日から同五一年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四五、四四一、三七五円(別紙(三)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五一年五月三一日、前記浅草税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一八、三八五、〇〇七円でこれに対する法人税額が六、四三九、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一七、二六二、二〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)と右申告税額との差額一〇、八二二、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示各事実全般にわたり

一  被告会社の会社登記簿謄本

一  被告人の収税官吏に対する質問てん末書二通

一  同じく検察官に対する供述調書三通

一  被告人作成名義の確認書三通、上申書一通

一  押収してある法人税確定申告書三袋(昭和五二年押第一五一一号の符号一乃至三)

一  中田ナツの検察官に対する供述調書

増差所得額の勘定科目別算出根拠につき

(売上)

一  収税官吏木村忠夫作成の昭和五二年三月一〇日付架空売上調査書

(仕入)

一  同じく昭和五二年三月一〇日付架空仕入調査書

一  同じく昭和五二年三月八日付仕入架空返品調査書

(期首商品有高、期末商品有高)

一  同じく昭和五二年三月一一日付棚卸除外調査書

(給料)

一  収税官吏須山勇作成の昭和五二年三月五日付簿外給与調査書

(受取利息、信託収益金、解約手数料)

一  収税官吏松本守正作成の昭和五二年三月一〇日付利子所得の源泉税調査書

一  同じく右同日付預金残高および受取利息調査書

(有価証券取引損益)

一  収税官吏須山勇作成の昭和五二年三月七日付株式売買損益および残高調査書

一  同じく右同月八日付割引債等売買損益および残高調査書

(受取配当金)

一  同じく右同月九日付受取配当金調査書

(雑収入)

一  収税官吏木村忠夫作成の昭和五二年三月五日付架空雑収入調査書

(事業税)

一  同じく昭和五二年五月一八日付未納事業税調査書

(価格変動準備金)

一  浅草税務署長作成の昭和五二年三月二三日付証明書

(法令の適用)

被告会社につき法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)、二五条一項。

よって主文のとおり判決する

(裁判官 中村勲)

別紙(一)

修正損益計算書

株式会社 中清

自 昭和48年4月1日

至 昭和49年3月31日

別紙(二)

修正損益計算書

株式会社 中清

自 昭和49年4月1日

至 昭和50年3月31日

別紙(三)

修正損益計算書

株式会社 中清

自 昭和50年4月1日

至 昭和51年3月31日

別紙(四)

ほ脱税額計算書

株式会社 中清

昭和48年4月1日~昭和49年3月31日事業年度分

昭和49年4月1日~昭和50年3月31日〃

昭和50年4月1日~昭和51年3月31日〃

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